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梅市 生成り料理(絶滅危惧食)大阪


奥田高光さん

梅市さんは大阪心斎橋、南警察署の裏通り2Fにあります。御堂筋線心斎橋駅から歩いて10〜15分くらい。

梅市さんに通い続けて約20年。唐津つく田さんの次に長いお付き合いとなったお店です。わたしの食のものさし2店舗。

奥田高光さん(故 今和泉明さんに師事)が伝えたいのは生成り料理。私なりに解釈した文章だと歪んでしまうので奥田さんの言葉そのまま記載することにしました。※奥田さんのいいまつがい、記憶違い、わたしの聞き間違いがあるかもしれません。

お読みになって、生成り料理が気になったら訪問してください。たまにお喋りがすぎて減点の時はありますけど、やさしいおやっさんです。

生成り料理(関西料理)

どんな料理でも持ち味生かそうとしてるんですけど、関西料理は特にそれに重点を置いてやるんですよ。今は綺麗に見せるのと味というたら五分五分くらいに表現するんですけど、その当時の大阪の料理人というのは、生成りというのは味を主力にした「美味しかったらええやないか」あとは清潔感持って盛りましょう、良い器にって。そういう感じやった。

なら生成りって言ったらどんなもんなのか、生でかじったら良いのかと言ったらそうではない、ものすごい丁寧な仕込みやるんですよ。バァーッと焼いて出すとかそんなことはないですよ。相当見てへんところで丁寧な下仕事やって、かなり厳しい検品かけて、生成り料理の欠点があるとしたら材料費がかかりすぎること。最高級品ばかり狙うので、それでないとできない。師匠の3人とも生成り料理専門。

大阪の料理というのは材料の良さを活かすことと、しっかり出汁を取るということ。出汁の旨さということ。伝統的に出汁の旨さで野菜や皆を美味しく炊くと。そしてその持ち味以上の味はつけない。なんでて言ったら持ち味を殺しに行くことになるから。例えばあら炊きなんか甘辛く炊きますね、ところが生成りでは中に味は入ってませんね、食べて鯛の味がバーっとでてきて中和されて鯛の味が口の中にいっぱい広がりを以って生成りなんです。あれを薄い味で長く炊いて中まで染み込ませてしまったらもう生成りではない。もっと甘辛くても良いから周りにまくって一緒に食べて、ちょっと濃いのをつけて食べた時に鯛の味がまだ出てくるっていうのが大切。みんな筍メバルでもメバルの煮付けに筍を横に添えて、筍メバルって言ってはるけど、あれではメバルの煮付け筍添えですよ。筍メバルは違う炊き方なんです。どんどんあーいう事がなくなっていっている。鱧鍋をポン酢で食べたり、鱧しゃぶって料理は厳密な話、理屈こねるわけじゃなく、関西料理にはありません。鱧鍋っていうのはあっても。しゃぶしゃぶっていうのは東京のすき焼きやさんが考え出したものなんですよ。そんなに歴史ないですよ。鱧すきっていうのを漁師さんが玉ねぎ入れてやってたんですよ。それを見て料理屋に昔からあった魚すきとうまく中和させてできたものが鱧鍋なんです。だから鱧鍋はポン酢つけては食べません。出汁の味で食べる。

というのは北前船やなんやらみんな荷物が大阪に集積されたんでしょう、昆布なんかでも皆大阪にきたわけでしょ、それやから昆布や鰹のいいものがいったのと、水が昆布から味の出る軟水やったのがよかったんでしょうかね。江戸時代くらいからだと聞いてます生成り料理と言われたのは。で、関西料理を昔の料理人さんが自慢してよく言っていたのは「浪速千年の味」。奈良に都があり、大阪に利休があるころから、大阪には浪速の味が始まったんやって。お茶は皆京都へ行ってしまったが、利休さんは堺の人やから。生成り料理は船場の豪商なんかが喜んで食べた料理で、お金に糸目をつけずに食べてた料理が生成り料理なんです。もう甘辛い料理は食べ飽きて食べれんと、あっさりと美味しく食べさせ。と。塩加減でも薄味だからちょっと狂ったらアウトなんです。そこの難しさみたいなものがある。

談:奥田高光さん

おやっさんが死ぬか、私が死ぬまで、こちらに通い続けるでしょう。

補足事項

1、いまでは作れる人がいなくなったといわれる生成り料理。大阪本来の味。

2、奥田高光さんは体調を考え、好きなタバコも2017年にやめられてます。

3、こちらのお椀で日本料理に目覚めました。

4、春は筍めばる、夏は鱧鍋、冬はクエ鍋をご賞味ください。

5、個室もあります。

※写真は事前に内容を説明し、許可を得てから撮影させて頂いてます。(2017年8月1日訪問)

梅市 (umeichi)

大阪府大阪市中央区東心斎橋1-6-3 ハイツ千年町 2F

06-6241-0576

営業時間 予約があれば 11:30~14:00 (火~土の予約時のみ)

     17:00~21:00(L.O)

休業日 日曜・祝日

必ずご予約をお願いします。営業時間/休業日なども変更される場合がありますからお電話にて確認を。

※この日は鮑の食い切り料理で、通常料理とは違いますから2017年9月20日訪問した時の写真も載せておきます。

※おまけ 毎年変わらないおせち。先日柴田書店の大和屋歳時を古本で入手。原形と思われるような写真をみつけた時は嬉しかった。

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