
道野さんとの付き合いも10年以上になります。現在の福島の前に豊中でレザール・サンテという、野菜が主役でもいいだろう!みたいなフレンチを実践されていた頃だったはず。当時は(今もかな)とても悩まれており、もちろん料理にも現れており、そのもがき苦しむお皿が気になって何度か通いました。本人は良くなかった!みたいに言われることが多いですが、誰も挑戦しなかった健康を考え野菜中心にしたフランス料理は私の心に届いていました。
しかしビジネス的には失敗で2009年に福島に移転、名前もミチノ・ル・トゥールビヨンと戻され現在に至ります。
一般的に60歳オーバーのシェフが出される料理ってどのようなものを想像されますか。若い時に一世風靡した定番が出てくる。
季節感も薄く、メニューはいつも決まっていて美味しいけと面白みがないので行かなくなった などでしょうか。
これらの点は全く道野さんには当てはまりません。「前衛」「異端児」と言われていたので当たり前でしょうけど、60歳を越えて
これまで壊してきたことを、消化洗練させ&最新技術も必要であれば使うミチノ・クラシックとして再構築されているように感じます。
(クラシックと書いてますが、古臭い料理ではありません 気の無い若者より新しいです)
クラシカルな料理も現在の流通鮮度の恩恵を考慮した思い切った解釈をしてくるし、新しい技術はとりあえず試して検証する。
心にはいつも疑問を持ち、訪問するたびに新しい発見で魅せてくれます。
私が描く理想のストーリーとしては60歳オーバーさらには70歳のレストランがもう一度繁盛店になるようなドラマを見せて欲しい。
今後60代を迎える自分のためにも、同業者の料理人の方々の希望としても、
早ければ2017年12月、遅くとも2018年初頭には発刊したいと思ってます。
人はなろうとしたもんになれる 道野正
